vol.3「カラヴァッジョ展」

アート

イタリアの巨匠がやってきた!

みなさんこんにちはinhです。今回はカラヴァッジョ展』の記録をまとめていきたいと思います。いつになくハイペース!

西洋美術に大きな影響を与えたといわれる革命児と、彼から影響を受けたカラヴァッジェスキ達の作品を見てきました。

カラヴァッジェスキとは、カラヴァッジョの斬新かつ革新的な作品様式に強く影響を受けた画家たちのことを指します)

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企画展情報

開催概要

名称:カラヴァッジョ展

会場:名古屋市美術館

会期:2019年10月26日〜12月15日

初日の閉館時間ギリギリに行きました。まだどこかの広報カメラマンがいましたね。初日は混んでる確実ですが、カラヴァッジョは残した作品数が少ないため、結果的に良い時間帯だったと思います(名古屋市美術館は16時半受付終了、17時閉館です)。

市内ではそこそこ大きい白川公園の中にありまして、近くに博物館もあります。天気の良い休日には最高の暇つぶしポイントです。

展示作品について

今回の企画展では、カラヴァッジョに関するコラムと漫画家のヤマザキマリさんによるカラヴァッジョのイラストとコメントが多く添えられていました。また、カラヴァッジョに関わってきた人物の紹介がたくさんあります。親しみやすい工夫を凝らした展示スタイルです。

カラヴァッジョは「喧嘩好きで変わり者」「付き合える奴は稀」等々、くそみそに言われることが多いです。スキャンダルも多く、受けた依頼のキャンセル、作品の受け取り拒否なんてのもあったそう。

そんなとんでもないカラヴァッジョですが、本来の名前はミケランジェロ・メリージ。「カラヴァッジョ」という名は、イタリア・ミラノの東にある町の名前だったのでした。初めて知りました。ちなみに両親の出身地だったそうです。由来の地の名前を使うということは、情の深い人間だったのかもしれません。誰かとの関わりを大切にした人だったのかも。

多くの人と関わってきたカラヴァッジョの、まずは人生を端的にまとめてみたいと思います。

画家として10年ほどしか活動出来なかったカラヴァッジョ。作品が少ないのには理由があります。当時お偉いさんの用心棒であったラヌッチオ・トマゾーニという男を殺害した罪でヨーロッパ中を追われる身となりました。この事件は彼を語る上で有名な話です。カラヴァッジョは逃亡する先々で作品を描き、恩赦を求めてローマに帰ろうとした道すがら、熱病により38歳という若さでこの世を去ってしまいます。

カラヴァッジョの作品には、罪に対する感情めいた表現が表れていると考えられています。『歯を抜く人』では(タイトルからして冷や汗が出そうですが)、抜歯されている男のリアルな表現が見事に描かれていて、犯した罪に対する怖さのようなものを感じられました。老若男女による衆人環視のもと歯を抜かれているなんて見るとなかなか風刺的な構図なんですよね……かなり辛そう。

さらに、『ゴリアテの首を持つダヴィデ』では、ゴリアテの頭部がカラヴァッジョ自身ではないかと議論されているのです。カラヴァッジョの作品には、時々自身をモデルにしたモチーフが描かれているのです。このお話も有名ですね。展示の一番初めの方にカラヴァッジョの肖像画があって、このゴリアテの顔を比べると確かにどことなく似ている気がしてきます。そこにはない非現実的な物とリアルを融合させる表現って面白いですよね。またここで注目したいのはダヴィデの苦しそうな表情。ゴリアテを倒した英雄として名高いダヴィデですが、何故辛そうな表情を浮かべているのでしょう。不思議な作品だと思いました。

ちなみにこの作品、名古屋市美術館での展示のみとなっております。やったね!

そして彼の作品の中で特に恐ろしく美しい作品があります。肌は唇さえも青白く、もはや死人のような表情で天を仰ぐように椅子にもたれかかる女性ーー『法悦のマグダラのマリア』です。

名作です。鳥肌モノでした。この作品はカラヴァッジョが死ぬ直前まで手元に置いておいた作品のひとつだったそうです。納得の作品だと思います。写真や印刷物では表せないあの肌の青白さは、本当に素晴らしい。

カラヴァッジョの宗教画は背景が闇のように黒い物が多く、この作品も例に漏れず真っ暗な部屋の中にマリアが浮かんできます。暗闇の中こそ注視することで奥行きをとても感じられる。繊細な明暗です。

この作品については語り難く……是非足を運んで見ていただきたいです。文字通り息を飲む作品だと思います。

終わりに

企画展のサブタイトルとして『天才か? 罪か?』という問題提起が与えられていますが、犯罪者でありながら素晴らしい宗教画を手掛けてきた画家とは、相容れないようで、そうでもないような、ちぐはぐな存在だなと思います。カラヴァッジョの素晴らしい作品達は、彼を天才と呼ぶに相応の反響があったことも事実なんですよね。そう思えるのは、きっとこの目で見た故でしょう。

今回の企画展は札幌、名古屋、大阪で巡回します。前述の通り、巡回先でしか見られない作品がありますので、カラヴァッジョ大好きな方は、その目でミッションコンプリートしてみてはいかがでしょうか。

それではまた次の記録が残されるまで、またね〜。

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